リスキリングは特定社員だけでなく 一般の社員巻き込む方向に進むべき

最近、「人的資本経営」、「学び直し」、「リスキリング」といったように、働く人びとの職業能力開発をより重視し、促進しようという方向に社会の関心が高まっている。国が5年間で1兆円の予算を投入しようというのだから、関係者が色めき立つのも不思議ではない。だが、国や企業が笛や太鼓ではやし立てたところで、働く人びとが「自分ごと」として真剣に呼応しないなら、目立った成果は期待できない。大学で教えていたときに試験をしたら、何百人もの受講生が0点から100点近くまでほぼ山なりに分布していた。それを眺め、同じ授業を受けて同じ参考書を買っても、「結局は個々人の意思次第なのだ」ということを痛感したものである。
 「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」。欲求(ニーズ)をまるで感じない行為主体に対しては、当該行為を無理強いしても、目的を達せられない。大事なのは、最先端領域に従事する一部の専門職社員ばかりでなく、現場で活躍する一般の社員もまた、変化の激しいなか、日々工夫し、より創造的な働き方や顧客対応にむけて実践を繰り返す方向へ進むかである。
 本稿では、法的に考えて働く人びとに自己啓発を義務づけることが可能か、さらには働く人びとに喜んで学んでもらう(エンゲージメントをもって自己啓発してもらう)には、どうしたらよいかを考えてみたい。

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